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【海外インターンシップ/ウプサラ・トゥルク】報告

 Post-event Reports
2015.9.14  

2015年9月6日(日)から10月4日(日)の期間、スウェーデン・ウプサラにあるGEヘルスケア研究所とフィンランドにあるトゥルク大学に、3期生の鈴鹿久彰君、稲井瑞穂さん、孫欣さん、胡留影さん4名が、海外インターンシップを行っております。

以下、チームリーダーの鈴鹿久彰君からの報告です。

2015年9月13日/No.1

当グループの4人は、ウプサラでの最初の一週間を無事終える事ができました。
週のはじめは大変肌寒かったのですが、日が経つにつれ天候も回復し、北欧に体が慣れてきたように思います。

ウプサラでの滞在先のアパートから、インターンシップ先のGEヘルスケアへは、市内バスを乗り継いで30分ほどで到着します。初日の月曜日はGEヘルスケア・ライフサイエンス部門についての概説からはじまり、通行証の発行がてら構内を案内いただいた後に、タンパク質精製の基礎に関するレクチャーを受けました。火曜日からはグループを二手に分け、それぞれ別のタンパク質をターゲットとし、他社開発のアフィニティーカラムをベンチマークとした比較試験に従事しています。両グループとも、悪戦苦闘しながらも目的のタンパク質の精製を週内に終える事ができましたので、来週からは自分たちが精製したタンパク質を用いてさらなる解析を行う予定です。

GEヘルスケアの方々は非常に気さくで、ビュッフェ形式のランチ中や、fikaと呼ばれるコーヒーブレイク中などに、実験以外の事柄についても多くの話を伺う事ができました。日々の仕事については、開発の方向性を決定するために営業部との密接な連携を行っていること、時には顧客から直接の聞き取りを行うことなど、企業の研究部門ならではの業務とその重要性について知ることができました。また私たちは今、長期育休を取得中の男性幹部のオフィスを間借りさせてもらっているのですが、そうした家庭を最重視する価値観が、早朝に出社し、4時半に帰るために集中するというスウェーデンの仕事スタイルの裏にあると知りました。

ウプサラでの日常については、GEヘルスケアの平野穣さんにご尽力頂いたこともあり、非常にスムーズに生活基盤を築くことができました。市内の案内・表示などはほとんどがスウェーデン語表記のみなのですが、幸いこれまで人に英語で話しかけて通じないという場面はなかったので大変助かっています。土曜日夜はKulturNattenと呼ばれるお祭りで、大聖堂でのオルガン演奏、博物館の無料公開、ヘヴィメタル、中世風の騎兵ショーと火吹き男のコラボレーションなど、街中で北欧文化のフルコースを満喫し、翌週からの活動に向け一週間を楽しく締めくくることができました。

鈴鹿 久彰

 

2015年9月21日/No.2

我々IPBS3期生のウプサラでの研修活動も、二週間目を終え折り返しの区切りを迎えました。

GEヘルスケアにおける研修では、カラムを用いたタンパク質精製を集中的に行った一週目から一転し、今週は日ごとに異なるテーマについて、様々な機器を用いた分析を行いました。(中略 研究内容)今週はより多くの研究員の方を関わることができたため、企業研究者という仕事に関するお話を聞く機会に恵まれました。研究開発以外の部署を渡り歩いた経験や、幅広い分野の方々と関わって一つの商品を作り上げるという達成感など、アカデミアにはない魅力についての声が多く聞かれた一方、ポスドクを経て入社し、開発活動を通して得られた知見を論文として発表している方もおられ、博士号を持つ研究者としてもやりがいを得られる場だとの印象も強く持ちました。また、機器やソフトウェア、キットといった製品のユーザービリティを重視した開発や、材料の調達活動に関わる実験など、大学においてはまず行わない研究活動についてのお話も印象に残りました。

前の日曜日には全員でストックホルムに足を伸ばし、旧市街に立地するノーベル賞博物館と、ノーベル賞授賞式の晩餐会が行われる市庁舎を見学することができました。GEでの研修活動は次が最終週となりますが、最終日の総括プレゼンに向けて気を引き締め、可能な限りのことを学んで帰りたいと思っています。

鈴鹿 久彰

 

2015年9月28日/No.3

当グループの4人は、GEヘルスケアにおける3週間の研修日程を全て終了し、フィンランド・トゥルクに無事到着いたしました。

(中略 研究内容)

最終プレゼンテーションでは、研修の中でお世話になった研究者の皆様にご集合いただき、それまでの3週間において得られた実験成果、その中での気付きなどのフィードバックを行いました。発表後には、理解度を確かめるための教育的な質疑応答に加え、結果を踏まえて次のステップとしてどういった実験が求められるかなど、企業における研究活動の総括を模したディスカッションを体験することができました。質疑後には皆様と歓談する機会が設けられ、得られたデータは実際にR&Dに活用したいとの言葉に、仕事が報われる喜びを、振舞われたケーキと共に味わうことができました。また、今回の研修で実施した研究は製品発売後の応用拡大を目指したものでしたが、開発中の製品に関わる実験や、それ以前の基礎的知見に関わる研究についてもお話いただき、企業研究者としてのやりがいについての見識を新たにしつつ、GEでの研修の締めくくりとなりました。

残り一週間はトゥルク大学のゲストハウスに滞在し、研究者・企業訪問や、現地の若手研究者との交流を行います。短い滞在ですが、フィンランドの医科学研究に少しでも多く触れ、知見を広めたいと思っております。

鈴鹿 久彰

 

2015年10月5日/No.4

IPBS3期生北欧組は、フィンランド・トゥルク市における最終週の活動を終え、4週間にわたる海外インターンシップを締めくくる事ができました。

トゥルクにおいて我々は、Biocityと呼ばれる、トゥルク大学、オーボ・アカデミー大学の研究室およびバイオ関連企業が入居する施設を拠点とし、研究者訪問、バイオベンチャー企業訪問、研究発表を通じた現地大学院生との交流など、様々な研修活動を展開しました。

研究者訪問とは、トゥルクのアカデミアにおいて活躍されている教授や研究者に対するインタビューを行うもので、北欧でのインターンシップ中で唯一、学生それぞれが独立して行う活動となりました。訪問先も学生個々人の研究関心領域に沿ったもので、各々の研究内容についてのアドバイスに加え、フィンランドにおける医科学研究の環境、研究設備の見学、産業界との共同研究、科学者としての姿勢についてなど、多岐にわたる指導を頂くことができました。

また、我々はトゥルク市に本社を持つ製薬ベンチャー企業、Faron Pharmaceuticals社を訪問し、Vice PresidentであるDr. Mikael Maksimow氏のお話を伺う機会を得る事ができました。同社はBiocityにおけるインキュベーション機能を活用している企業の一つで、トゥルク大学で得られた創薬シーズの応用を目指し、現在進行中の複数の臨床試験を通じてアカデミアと臨床を繋ぐ事業を行っておられます。限られた時間の訪問とはなりましたが、企業活動についての概説と質疑応答に続き、アカデミアにおける経験が企業においてどう役に立つのか、逆に足りないものがあるとすればそれは何か、などといったリーディングプログラムの活動とも深く関わる議論を交わすことができ、非常に貴重な体験となりました。

さらに現地学生との交流事業として、若手研究者による研究発表と題したプレゼンテーションを行いました。IPBS側からはTse Carmanを加えた5人、現地からはポスドク・大学院生など4人が参加し、相互の研究活動について理解を深めるとともに、普段得られない視点からのフィードバックを得る事ができました。

また、最終日には宮坂昌之先生の引率の元でヘルシンキを訪問し、フィンランドを代表する建築家Alvar Aaltoの自宅および工房を見学するとともに、テンペリアウキオ教会でバロック音楽の演奏に立ち会うなど、フィンランドの文化を贅沢に味わうことができました。

ウプサラ・GEヘルスケアでは3週間、トゥルクでは1週間という長い期間のインターンシップでしたが、期間中大きなトラブルなく過ごす事が出来ました。現地プログラムにおける研修によって幅広い知見を得られたことはもちろんですが、長時間活動を共にした、同じ立場のIPBS履修生から学んだことも大変大きかったように思います。関係者に改めて感謝申し上げます。

鈴鹿 久彰

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