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【海外インターンシップ/モントレー国際大学院】報告

 Post-event Reports
2015.9.14  

2015年9月6日(日)〜10月4日(日)まで、モントレー国際大学院へ、3期生の山本健太郎君、梶原竜太君、赤澤一樹君、矢白木翔平君、日下部伸治君の5名が、海外インターンシップを行っております。

以下、チームリーダーの山本健太郎君からの報告です。

2015年9月14日/No.1

カリフォルニア州モントレーでの生活は早くも一週間が過ぎました。モントレーは朝晩と昼とで気温に大きな開きがあり、乾燥した大気という砂漠気候に近い特徴があります。モントレーの街並みは、自然と調和し緑が多く見受けられます。街から一歩踏み出すと海沿いの遊歩道に繋がる風光明媚な土地柄となっています。街の人はとても親切で、とても豊かな生活環境に恵まれています。モントレー国際大学院は街中に位置しており、図書館や学生のためのオープンスペース、パソコンのある部屋など、英語学習には理想的な環境が揃っています。

この一週間は新しい出来事の連続であり、多くの学びと刺激のある有意義な時間となりました。モントレーでの生活は、主に「ホームステイ先での日常生活」と、「モントレー国際大学院での集中的な英語学習プログラム」、の2つが挙げられます。前者は、衣食住におけるアメリカ文化と日本の文化の違いを肌で感じることから始まり、生活に必要な身の回りのあれこれを英語で伝え、生きた英語を耳にする良い機会となっています。一方後者は、コース全体のオリエンテーションがメインとなりました。この一ヶ月で、基本的な英語の発音や文法、リスニング能力の開発から始まり、最終的にはアカデミック水準でのライティングスキル、そしてプレゼンテーションスキル獲得を目指します。
モントレー国際大学院の先生は言語としての英語に造詣があり、例えば、批判文の考え方や効果的な書き方を重点的に教えてくださるそうです。今週発音の授業がありましたが、アルファベットと発音のつながりを捉えた新しい概念を学び、1時間の学習でしたがとても実りのあるものとなりました。
また、地元の薬局やカリフォルニア大学サンタクルーズ校(UCSC)などに伺い、インタビューを行う授業(site visit)が毎週金曜日に組まれており、楽しみの一つとなっています。UCSCといえば、genome browserで有名であり、MITのFeng Zhang が発達させたCRISPR/cas9のターゲット配列を決めるweb上のソフトウェアーもUCSCのgenome browserを用いており、我々にとって身近な話題も豊富であることからもとても魅力的なプログラムであると感じます。残りの三週間では、これら充実したプログラムが本格的に始まります。どの時間も無駄にせず、1つでも多くの学びを得られるよう能動的な姿勢で臨みたいと思います。

山本

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2015年9月21日/No.2

モントレー国際大学院での英語学習は、早くも折り返しの時期を迎えました。2週目となり、様々な授業が展開し深く英語の勉強と向き合っています。生活面においても、街の暮らしにも慣れお昼時の注文のときにレジの人と簡単な会話を挟むなど、心に余裕が芽生え授業以外にも英語を使える機会が増えていたのではないかと思います。

今週は英語論文の批判的な読み方、発音技法、プレゼンテーションスキル、日常会話、サイトビジットなどの項目を中心として学習しました。特に、1つ目の批判的な読み方では、critiqueと呼ばれるpros/consの両面から要約と論文を見渡す技法の獲得を目指しています。また、2つ目の発音技法では、日本人の典型的な発音と英語の発音の違いを実際に発音しながら学んでいます。どれも充実したな授業内容となっており、有意義な時間を過ごしています。

サイトビジットの授業では、先週は地元薬局へ、そして今週は私立の医療機関(Community Hospital of the Monterey Peninsula, CHOMP)へと伺いました。これら施設では、実際に担当の方に案内していただき、アメリカの医薬事情に関していろいろな視点から興味深い話を伺っております。特に、アメリカと日本の薬局の役割の違いを学び、それにならって両国における保険制度の違いなどから製薬企業の社会に対する役割や、政治的影響力などを学びました。一般にオバマケア(正式にはAffordable Care Act)と呼ばれている新しい保険体制が開始されたことに伴う医療保険市場・国・医療現場の変化や、医療保険にカバーされるブランド薬・ジェネリック薬の違いなど、今まで日本にいては感じられなかった問題を間近に感じることができました。このように、ひとたび日本を離れると、医薬製薬の分野でも知らないことの方が多く、世界情勢に目を向ける良き契機となりました。これらの経験は、単に英語でやり取りができる次元から、今回はアメリカだけに限定されますが、政治や文化歴史なども共に学ばなければグローバルの視点に立って物事を考えることはできないと身をもって実感しました。これらの気付きが一過的なものでなく、帰国してからも広くアンテナをはり、広く物事を捉えられるように習慣付けたいと思っています。

3週目にあたる翌週は、課題の1つであるプレゼンテーションに向けての取り組みや、サンタクルス校への訪問、そして批判文の捉え方から書き方へと今週よりも一歩進んだ授業が計画されています。毎回の授業を英語学習の好機と捉え、与えられた情報を1つ1つ確実に吸収できていけたらと考えております。

山本

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2015年9月28日/No.3

アメリカ・モントレーでの3週目の報告を以下に記します。
モントレーでの英語学習も残すところ1週間となりました。当初1ヶ月はとても長い期間に思われましたが、実際に授業が始まると一瞬の出来事のように思われてきます。光陰矢の如しとは言い得て妙であり、身を以て時間の流れの早さを体験しています。

さて、三週目にあたる今週は授業の様子が変わり、各クラスで習得すべき到達地点を具体的に意識した実践的な授業が繰り広げられました。主に、論文を読み、reported,quotationの2つの方法の違いを吟味しながらsummary, paraphrasing, と呼ばれる2つの異なるまとめ方を訓練をしています。具体的には、彼らが何を言いたいのか、そして彼らがどのような読者を想定して単語や説明文を記して論文を書いているのかなどを読みとります。これらの基本的な項目を意識しながら読むことで、単に書かれていることを読み取るだけでなく、相手の考えを自分の中で深めてゆく練習になります。また、自分が文章を書く時にも、同じことが言えます。この能力は英語学習にのみ言えることではなく、普段から意識することで講義や読書など身近な事柄においてもより深く考え理解するための大切なルールだと感じています。 また、ゲストスピーカーの講演が多くありました。アメリカではメディカルドクターによる一般的な診察だけでなく、カイロプラクターなどの専門に特化した職業が広く存在しています。また、近年の分子生物学を基礎とした薬による治療だけでなく、リラクゼーションや鍼治療などの自然に近い治療法を専門とする職業もあり、広くホリスティック医療と呼ばれています。専門学校を卒業し一度資格を取得しさえすれば一生仕事ができる日本とは異なり、年度更新で資格試験を受けさらに規定の授業を受ける必要があります。そのため、彼らは患者の主治医と相談しながら専門性の高い治療を提供することができます。現場から得られる技術と、勉強することで得られる最新の知識を常に獲得することが、質の高い医療提供につながります。このような現場の声を聞き、質疑応答を行うことで様々な気づきの得られる時間はとても有意義に思われます。

最後に、今週のサイトビジットではカリフォルニア大学サンタクルス校へ伺いました。ゲノム解析に強く、GeneBrowserと呼ばれる遺伝子表示ソフトと、Chip-seq, RNA-seqをゲノムワイドの解析手法を組み合わせて実験を展開していました。細胞が分化する過程で遺伝子の発現タイミング制御やon/offの制御機構のダイナミクスは解き明かされていないことが多く、ES、iPS細胞を用いてこれらの課題に取り組んでいらっしゃいました。ウェットの実験系とin silicoでの解析の組み合わせの強さを目の当たりにし、研究の面白さを感じました。海外の研究者の発表を聞き、また海外の研究室生活の一端に触れたことで今後の進路をより具体的にイメージできるようになったと感じています。
最終週の来週は、プレゼンテーションと批判文の提出が大きな課題となります。最後まで気を抜かず、様々なことに挑戦して最後の週を終えたいと考えています。

山本

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2015年10月5日/No.4

アメリカ・モントレーでの4週目の報告を以下に記します。

1ヶ月に渡るアメリカモントレーでの英語学習は最終日のプレゼンテーションを持って全過程を修了いたしました。モントレーの地では、様々な違和感に触れ、触発された1ヶ月となりました。最終週では、プレゼンテーションに向けた授業と批判文の作成を行いました。1年時に行われました夏季のプレゼンテーションの講義では、プレゼンテーションの基本的な項目を学習いたことが思い出されます。例えば、発表開始時に聴衆の興味を引きるける技法のHook、やスライドとスライドの間のトランジションの決め方などを学びました。今回はこれらの事項に加えて、英語の話し方の変化、を学びました。ピッチの変化や、言葉への感情の込め方、そしてジェスチャーの使い方など、より自分の意見を伝える実践的な英語学習となりました。特に、プレゼンテーションは伝える場のため、聴衆がどうすれば最後まで興味を持って聞いてくれるのかという観点を最も大切にしていると感じました。自分が理解しやすいように工夫してスライドを作成し発表しても、専門的な知識を用いた自分の結果を披露するだけの自己満足に陥ってしまいます。そうではなく、会場はどのくらいで、聴衆はだれで、などプレゼンテーションの舞台設定に応じて、スライド内容とスピーチ原稿を考慮することが大切であると思います。この能力は、専門領域を越えた人々と協力するために、自身の専門性獲得と並行して学ばなければならない能力に思われます。最終プレゼンテーションは、モントレー国際大学院に所属している大学院生を聴衆に迎えて行われました。彼らが発表をどのように捉え、何が足りないのかを学ぶ良い機会になりました。

批判文の課題ではよく用いられる定型文などを学び、これらを用いて自分の論拠を示していきます。モントレーでの授業では、よくスペクトラムという単語を耳にしました。批判文もそうで、筆者の結論にどの程度満足しているのかという自分の立場を表明しつつ文章展開をしてゆくことになります。簡単な例ですが、筆者の論文を支持しているにも関わらずdisagreeを直接用いて批判文を展開しては文章があべこべになり読者も何が言いたいのか理解できなくなります。同じ意味を持つ単語はいくらかありますが、スペクトラムを考え適切に用いることが説得力の文章への第一歩ではないかと思います。文章の作り方も単語を並べるだけでなく、助動詞の運用やif節の適切な使い方によって洗練された文章を書くことができるようになると考えます。このような、言語の持つ微妙なニュアンスを英語の言語学者の先生から直接学ぶことができ、大変有意義な時間となりました。

報告書には書ききれませんが、英語学習以外にも様々なことを肌で感じ、多くの学びがある1ヶ月間となりました。このような素晴らしい機会を与えてくださいましたモントレー国際大学院の皆様と、ホストファミリーの方々、そしてIPBSの関係者の皆様に感謝いたします。

山本

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